人材育成の講師 佐々木直人さんに聞くパーソナル・レッスン Interviews with NAOTO SASAKI
2013 年に当協会の「パーソナル・レッスン」を受講していただいた、NAB就業教育研究所 所長の佐々木直人さんに、「受講の感想とその効果」について伺いました。 佐々木さんは「飯を食える大人」の育成をモットーに、キャリア形成の考え方や実務に役立つスキルを、学生や社会人に教えています。全国の大学や企業で年に100本以上の講義をされています。
Q. パーソナル・レッスンを受講したきっかけはなんですか?
今までは「いい講座を作れば伝わる」と思っていましたが、逆に「いい講座を作っているのだからこそ、もっと伝えたい」と思うようになりました。私も登壇したある講演会で、荒井理事長が講義されるのを聞き、「これが“伝える”ってことか!」と目からウロコが落ちる想いでした。迷うことなく、すぐに門を叩いたんです。
Q. 受講前に自分で「課題」と感じていたことはありますか?
仕事柄講演が多いのですが、実は大勢の前で話すこと自体、あまり好きではないんです。だから講演では、いつもエンジンがかかるまでしばらく時間が必要でした。どうすれば、冒頭からしっかり話が伝わるようなスタートが切れるのだろうと思っていました。
また、学生に伝えなければならない情報量が多かったこともあり、今一つ、「伝わり切った!」という実感が持てなかったんです。何をすればより伝わるようになるのか、思考錯誤の最中でした。
Q. 受講した結果、ご自身が「変化した」と感じたことはなんですか?
一番はっきり変わったのは、聞き手の反応です。
受講してからゆっくりと話すようになりましたが、伝えられる情報量は、むしろ以前より増えました。学生の反応も一層よくなり、講義後のアンケートに如実に表れるようになりました。課題だったスタートも、自分に合ったスタイルを手に入れて克服でき、今では冒頭からトップギアで話しています。
さらには、「意図したアウトプット」を自在に出せるようになりました。
じっくり考えさせようと敢えて淡々と話したり、一瞬で興味を惹きつけようと一気に山を作ってみたり。声や表現方法を瞬時にアレンジできるようになりました。
Q. このレッスンをどんな人に勧めたいと感じますか?
仕事をするすべての人が、身につけると大いに役立つスキルだと思います。まさに読み書きと一緒です。「読み」「書き」「対話」という感じですね。
学生を教えていると、対話力が年々下がっているのが明白で、本当に心配になります。デバイスが進化し、生身の人に訊かなくても日々の生活に支障無いほど、簡単に情報を得られるようになりました。また、限られたコミュニティーでの狭く浅い人間関係がごく当たり前のものになっています。 これでは、他人の話を「聴く力」も意を汲んで適切に「答える力」も、磨きようがありません。
それを体系立てて指導してくれるこのレッスンは、社会に出るためだけでなく、視野を広げ世界を開いていくうえで大いに役立つと思います。
特に、コミュニケーション不全がきっかけで引きこもりがちな人には、大きなきっかけになるのではないでしょうか。対人関係がうまくいかないのを「気持ちの問題」だと思い悩んでいる学生が少なくありません。本当は、自分を責める必要は無いんです。それは「気持ち」じゃなくて「スキル」の問題なんだよ、ただ、今まで知らなかっただけなんだよ、と声を掛けるようにしています。
このスキルを身につければ、「伝えらえる力」は圧倒的に高まるでしょう。自分が周囲に受け入れられることを実感でき、一歩踏み出 すことができるようになれば、こんなに素晴らしい事はないですよね。
Q. パーソナル・レッスンの運営はいかがでしたか?
教える側の人間として捉えた時、指導の仕方にがっちりと噛み合う、共鳴できる部分が多くありました。
レッスンでは、実際に自分が講演する資料を使ってリハーサルをし、その模様を撮影して繰り返し確認し、課題や改善点を指摘してもらいました。非常に分かり易く効率的な進め方でした。
講演や講義はもちろん、会合などで定期的に挨拶を求められるなど「自分が話すテーマ」が決まっている人なら、すぐにその効果が実感できると思います。